スライドショー1-41 <神剣クリス 1> 撮影:高木美佳 2011.06.29

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ライナーノーツ

高木一行

神剣クリス 撮影:高木美佳 2011.06.29

 2010年度のボルネオ巡礼を記念しマレーシアのクアラルンプールで購[あがな]い求めた神剣クリスの裡に、マナを招きつつ舞ってみた。
 クリスは、マレーシア、インドネシアの古戦士が使った波型の剣[つるぎ]だ。かつて、ジャワ島のジョグジャカルタ王宮を訪[おとの]うた際、衛兵たちがこれと同じものを腰に差しているのを観たことがある。

 まず岩笛奏上。それからクリスのロウ(波の列。これは常に奇数から成る)に沿うようにしてマナを込めていくと、波打つ刀身に導かれるように、様々な動きが湧き溢れてきた。マレー・インドネシアの影絵芝居(ワヤン・クリッ)みたいな動きも混じっているところが、いとをかし、だ。

 このクリスを求めた際、店主は最初無愛想だったのだが、私が本気とわかるや、たちまち態度を豹変させ、実に熱心に、真面目に、店の中の逸品を次から次へと持ち出してきて、一つ一つの特徴やみどころなどを懇切丁寧に説明してくれた。
 私がクリスを手に取って構える様を観た彼は、「あなたは武術家か」とますます張り切り、棚の奥からとっておきの秘蔵品を取り出してきた。
 それが、今回の帰神撮影に用いたクリスだ。

 その他にも、女性の下半身形の亀裂が刀身に入った希少なクリスも手に入れたが、その隙間から女性を覗きみれば相手は恋の魔術にかかるのだという。帰国後、冗談でちょっとたわむれに何人かの女性に試してみたところ、本当に効果があったのでびっくりしたことがある。
 そういえば、この古クリスはすっかり錆びついて茶色に変色しているのだが、まさか斬れはすまいとうっかり指で刃をなぞった私の油断をあざ笑うかのように、すぱっと見事に私の指を斬ってのけたことがある。あの時、私はあふれ出る血をクリスに捧げたのだった。
 それにより、クリス自身の裡に元来込められていた魔術的な力が、発動してしまったのだろうか?

 理由はわからないが、このところ巡礼へ赴[おもむ]くたびに、魔術的なアイテムが手に入るので困惑している。
 シャーマン? 魔道師? 呪術師? 
 天は、私に何をなせと命ずるのか・・・・。 

<2012.02.15 魚上氷>